「夏至に響く、北欧の風と音楽」

​

スウェーデン西部、ノルウェー国境近くのヴェルランドに位置する「ヴェスターノ劇場」は、スウェーデンの伝統音楽、演劇、ダンスを融合した芸術文化の発信地として、国内外から高い評価を受ける重要な拠点である。この劇場は、年間25,000人以上の観客を魅了し、その地域に根ざした独自の芸術性と革新性で知られる。ヴェスターノ劇場が生み出す作品は、北欧の自然や伝統を深く掘り下げ、現代的な感覚と融合させることで、新しい芸術表現の可能性を提示している。

​

劇場の象徴ともいえるのが、物語を進行させる中心的な役割を担う音楽の存在。フォークミュージックを基盤にしながらも、独自の進化を遂げたこの音楽は、劇場の作品に深い感動とエネルギーを与えている。特に、音楽責任者であり作曲家のマグヌス・スティンネルボムと、オーケストラリーダーであるソフィア・スティンネルボムが率いる音楽部門は、ヴェスターノ劇場の芸術性を支える柱となっている。そして彼のパートナーであるソフィア・スティンネルボムは、指揮者として、また卓越したビオラ奏者として劇場の音楽を支えている。二人を中心に結成された「Magnus and Sophia Stinnerbom with Västanå Band」は、北欧フォーク音楽をベースに、演劇的要素と現代的なアプローチを織り交ぜたユニークな音楽性を特徴としている。また、劇場では音楽イベント「ヴェスターノ・セッションズ」や、伝統的なクリスマス音楽を中心に構成される「ヴェスターノ・クリスマス」など、多彩な音楽プログラムを展開。これらのイベントでは、スウェーデン内外から招かれたアーティストたちが共演し、観客に特別な体験を提供している。創立50周年を記念して開催された2022年の記念コンサートでは全席完売を記録し、その存在感を改めて示した。彼らの手によって生み出される楽曲や演奏は、スウェーデンの伝統文化を受け継ぎながらも新しい風を吹き込み、国内外の聴衆を魅了している。

​

この劇場の音楽を象徴する存在が、作曲家であり伝統音楽オーケストラのリーダーでもあるマグヌス・スティンネルボム。

2025年6月、夏至の時期。この特別な時期に、マグヌス＆ソフィア・スティンネルボム夫妻を中心とした6人編成のバンドが日本にやってくる。北欧の自然と伝統が息づく音楽を、直接日本で体感するまたとない機会だ。劇場という場に根ざした音楽の力、そして季節の移ろいを象徴する「夏至」に相応しい、壮大で感動的なステージが予感される。

メンバー Member

マグヌス・スティンネルボム
ギター
Magnus Stinnerbom
北欧フォーク音楽の第一人者であり、スウェーデンの民俗音楽シーンを牽引する存在。スウェーデンを代表する北欧伝統音楽界の巨匠、フィドル奏者Leif Stinnerbomの息子。ヴェスタノー・テアターの主要音楽監督として、多くの舞台作品の音楽を手掛ける。作曲家としても活躍し、彼の作品はスウェーデンの伝統音楽をベースにしながら、革新性と力強いエネルギーを持つ。ソロアルバム『Trad』や『Blåsvarta Bergen』などを発表。ヴェスタノー・バンドの他、Hedningarnaのメンバーとしても活動していた経歴があり、北欧音楽の再定義に貢献した。